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2024.03.28

『虎に翼』放送直前!伊藤沙莉さんスペシャル・インタビュー

法学部インタビューエンタメ虎に翼

明治大学は、1929年に専門部女子部を開校。卒業生の三淵嘉子、久米愛、中田正子は明治大学法学部に編入の後、1940年に日本初の女性弁護士となりました。三淵嘉子は、2024年4月1日から放送が始まるNHKの連続テレビ小説『虎に翼』の主人公である猪爪寅子(※1)のモデルになっています。
今回MeijiNOWでは『虎に翼』の取材会に参加。報道各社が参加する合同取材会に加え、猪爪寅子役を演じる伊藤沙莉さんに明治大学単独インタビューにも応じていただき、ドラマの中で学生の皆さんに注目して見てほしいポイントなどを伺いました。
※1 猪爪寅子:いのつめともこ。あだ名はトラコ。

プロフィール伊藤沙莉さん

  • 千葉県出身。2003年にドラマデビュー。以降、ドラマ、映画、舞台などの話題作に出演。
  • 数々の作品で活躍し、ギャラクシー賞テレビ部門個人賞、ブルーリボン助演女優賞、エランドール賞新人賞、橋田賞新人賞など多数受賞。

朝から法律のドラマ、どのように伝わるか楽しみ(合同取材会)

――連続テレビ小説『虎に翼』がクランクインしてから半年近くが経過しましたが、これまでの撮影期間を振り返って、今の率直なお気持ちを教えてください。

伊藤沙莉さん(以下:伊藤) いろいろな方に「連続テレビ小説の撮影は大変だよ」と言われてきましたが、ここまで楽しい日々を送らせていただいています。大変なところも、みんなで考えてみんなで作っていくという時間を過ごすことができているので、とても有意義で充実した日々だと感じています。支えてくださる方々がたくさんいますし、現場の仲間意識が強く、一つの良い作品を作るという同じ目的に向かっているので、絆もどんどん深まっている気がしています。

――連続テレビ小説での主演が決まってから、周りの反響はいかがでしたか?

伊藤 決まった時から、家族や友人は楽しみにしてくれています。三淵嘉子さんの人生を描くということは、「朝から法律のドラマを放送する」ということなので、みんな興味があるみたいです。

連続テレビ小説で法律を扱うのは『ひまわり』(1996年4月1日放送開始)以来なので、今の若い方たちには「連続テレビ小説で法律がテーマ」というイメージがあまりないと思いますし、私たちも想像できない部分があります。これが視聴者の皆さんにどのように伝わっていくのかがとても楽しみですし、「え!面白い!」と思っていただける自信はあります。

――伊藤さんから見た『虎に翼』のストーリーの魅力を教えてください。

伊藤 トラコにはまだ見えていない世界があって、正解ばかりをたたき出さないところを描いているのがこの作品の好きなところです。例えば、大学に入学して、今自分がいる小さな世界から一歩飛び出すだけで、自分が抱えている問題や疑問以上のものを持っている人があふれている。その出会いを通じて考え方が広がったり、人間性が深まっていったりしていくことがとてもすてきです。

また、多様性のことなど、現代的なものも取り上げられていて、今も昔も立ちはだかるものは同じなのかなと感じています。

――大学でのシーンの撮影で印象に残っていることはありますか?

伊藤 女子部の撮影ではワイワイ楽しく過ごしていたので、怒られましたね(笑)。共学になったら空気が変わって真面目な雰囲気になりましたし、環境が変わればその環境どおりの空気感になったので、リアルな部分が出ていて助かりましたし、それも含めて楽しんでいました。本当に大学に通っているようでした。

――三淵嘉子さんの人柄をどのように理解して演じられていますか?

伊藤 今の段階で言うと、人間らしく、とても素直な人だと感じています。法律の世界に飛び込む人は興味や疑問を持つことからスタートすると思いますが、トラコはこのような感性が強いので、一番合っている世界に飛び込んだなと思います。

また、きちんと発言ができ、誰かの心を救うことができる人だと思っています。当初は、思ったことをすぐに口に出してしまったり、一言多かったりしてお母さんに怒られることがあるのですが、成長していく過程で「言うべきことと言わないこと」を学んでいきます。このようなことが備わっている人だからこそ、人の心や物事を動かすことができると、演じていて感じます。

たまにきれい事を言ってしまう時もありますが、そのきれい事があまりにも真っすぐで、本心をさらけ出しているので、このようなところがトラコの魅力だと思っています。

写真提供=NHK

――法律について、事前に勉強したことはありますか?

伊藤 本と資料をたくさん頂いて読み込んだり、明治大学で特別講義を4回受講させていただいたりしました。授業は本当に楽しかったです。役の中では民法に触れることが多いですが、私は刑法の方が面白かったです。また、授業を通じて、トラコが法律の世界で「なんでなんで?」となる気持ちに共感することができました。

当たり前に存在する法律ですが、当時は民事裁判でも家庭の在り方など今とは全く違いました。授業でそういった時代背景を知れたことは、トラコの悶々とした気持ちをつくるに当たって、とても参考になりました。

――伊藤さんの俳優人生の中で、この作品はどのような位置付けになると思いますか?

伊藤 確実に代表作になると思います。以前参加したワークショップで、誰か人物を決め、その人の人生を映画化した時に「外して描いてはいけないと思うワンシーンを演じる」というものがありました。もし、私の人生を演じるのであれば、今は絶対に外してはいけない期間だと思います。

作品としてとても面白いですし、役としてもトラコは私と似ているところがあるので楽しさがあったり、生きる時代の中で挑戦することもあったりするので、この作品を通して私自身が人間的に成長することができています。『虎に翼』の撮影期間中に30歳になるのですが、人との関わり方やものの使い方を学ぶなど、いろいろなことが折り重なった時間を過ごすことができており、生涯の中でも特に大切な作品になると感じています。

「大丈夫、一緒にがんばろう」と背中を押す作品に(明治大学単独インタビュー)

――伊藤さんとトラコとの共通点を教えてください。

伊藤 考える前に口が動くところです(笑)。あとは、余計な一言を言ってしまって後から反省するところでしょうか。演じていて「それ、言っちゃう気持ち分かるよ」と感じることがよくありました。

――役作りで特に意識されたことはありますか?

伊藤 話す時に「含み」を持たせないように気を付けています。トラコは本当に真っすぐな人で、思ったことをストレートに伝えます。相手にとって良いことだと思ったら、そのまま伝えたいと考える人なので、そこにうそがあってはいけませんし、迷いがあるような含みを持った話し方になっても、トラコの良さが伝わりません。

もちろん、このことによってトラコは勘違いをされてしまうこともありますが、そういったことも含めて「他の意図は何もなく、直接、真っすぐ伝える」ということを意識しています。

――合同取材会でもお話がありましたが、明治大学で授業を受けられた感想を教えてください。

伊藤 大学に行くのは初めてで、とても楽しかったです。1限だったので朝一番で教室に入っていたのですが、村上一博先生(※2)の授業が本当に面白くて。授業内容も面白いのですが、時々テーマに関連した雑談をしてくださることがあり「大学ってこういう雰囲気なんだな」と感じながら授業を受けていました。

トラコを演じるに当たって、本や資料をたくさん頂いたのですが、やはり人に説明してもらう方が分かりやすく頭に入りやすいですし、情景が浮かびやすいので、より法律に興味を持つことができました。

※2 村上一博:明治大学法学部教授、大学史資料センター所長。『虎に翼』には「法律考証」として参加している

――今回、NHKさんからもぜひ若い世代に見ていただきたいというお話がありました。明治大学の学生を含めて、若い世代の皆さんに見てもらいたいポイントを教えてください。

伊藤 リーガルドラマのようなイメージが先行すると、難しく堅苦しいと思われるかもしれませんが、『虎に翼』はとても見やすい作品になっています。登場する一人ひとりのキャラクターの個性が本当に濃くて面白いですし、人間関係が色濃く描かれています。脚本もめりはりがあって、ポップなところと締めるべきところをバランス良く作ってくださっています。

朝なのでラフな気持ちで楽しく見ていただけたらうれしいですし、皆さんが進路など将来に向けて悩みがあった時に「大丈夫、一緒にがんばろう」と背中を押すことができる作品だと思います。

――本日は貴重なお話をお聞かせいただき、ありがとうございました。

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