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2024.03.27

特別座談会「アスリートが語る明大体育会の強さと魅力――競技者として、そして、人としての成長を促す」

スポーツ
明治大学体育会は1905年に5部によって創設され、現在は46部が在籍しています。1世紀以上にわたって日本のカレッジスポーツと共に歩み、オリンピック選手をはじめ数多くのアスリートを輩出してきました。今回は、サッカー部の岡哲平さん、フェンシング部の稲山友梨さん、自転車部の渡部春雅さん、柔道部の森健心さんら現役アスリートによる座談会を実施し、明大体育会の今、そして未来を展望し、その魅力を紹介します。

――日々の練習の実態や環境についてお聞かせください

岡 哲平さん(以下:岡) 2023年3月に体育会サッカー部と競走部が利用する八幡山第三合宿所が完成しました。グラウンドがすぐ近くにあり、平日は午前6時から約2時間朝練をします。土日は練習試合や公式戦があり、週1日オフがあります。午後は自主トレで、寮のトレーニングルームでワークアウトに取り組みます。旧寮は8人部屋や16人部屋だったのが、新寮では2人部屋になりました。きれいで快適なのですが、部員とのコミュニケーションが希薄になりがちなので、ミーティングの回数を増やすなど工夫しています。

サッカー部 岡 哲平さん

稲山友梨さん(以下:稲山) フェンシング部は寮がないので、部員は違った生活リズムで活動を行っています。練習は平日授業後の午後6時30分から3時間、短時間でも効果を高められるよう意識しながら取り組んでいます。オフは週に2日です。場所はリバティタワー地下2階のスポーツルームですが、専用の練習場ではないため、その都度、審判器を出して練習しています。部員は13人ですが、少数精鋭でチームワークの良さが強みです。

渡部春雅さん(以下:渡部) 自転車部は八幡山に寮があり、寮からスタートしてロードを走ります。春から9月のインカレの時期までは、交通量の少ない早朝4時30分から8時まで練習します。週6日練習でオフは1日です。授業を組む時に全休の曜日を作り、その日は山梨県辺りまで往復200キロなど長い距離を走り、逆に授業のある日は朝練だけにして、強度を高めて走ります。トラック競技は千葉や山梨などの競技場を利用していて、部の車で移動し、強度の高い練習をしています。

フェンシング部 稲山 友梨さん

森 健心さん(以下:森) 柔道部の寮は目黒にあり、道場は駿河台キャンパス10号館にあります。平日は寮の近くの公園で早朝からランニングなどを行い、練習は午後5時30分から9時くらいまで行っています。少数精鋭の部で、授業などの理由で週6回の練習に部員全員がそろうことが少なく、乱取りなどの実践練習が不足しがちです。私は、それを補うため、個人練習として日中に実業団チームに出向き、5時30分から部の練習、その後に自主トレーニングするハードワークの日を週3日設けています。

――部での競技を通じてうれしかったこと、大変だったことを教えてください

 3年次、2022年の関東大学1部リーグ戦の優勝が一番の喜びです。ほとんどの試合に出場して、勝利に貢献できたと感じられたからです。大変だった思い出は、1・2年生の間の雑用当番です。ほぼ一日中食材の管理や電話番、掃除、洗濯などに時間と労力を割かなければなりませんでした。つらい仕事を同期のメンバーと分かち合ったことが、上級生になってからのキャプテンシーやチームワークにつながったと思います。

稲山 1年次に関カレ(関東学生フェンシング選手権大会)とインカレ(全日本学生フェンシング選手権大会)での個人優勝と、2022年末の全日本選手権大会の女子エペ団体での初優勝がうれしかったです。また、この座談会のように他部のアスリートと話す機会があると刺激を受けると同時にタイトルを取ったのだと実感します。一方で、今は部の運営に苦労しながら取り組んでいます。例年より半年早い代替わりをして、主務をしていますが、本格的にシーズンが始まる4月に良いスタートが切れるよう、最上級生としての役割を果たしていきたいです。

自転車部 渡部 春雅さん

渡部 インカレなどの大会に明治の自転車部として出場し、明治の1勝に貢献できたときはうれしいです。部の雰囲気が良くみんな仲が良いので、勝って喜んでもらえるとうれしいです。大変だったことは、2023年度の春から調子が悪く、気持ちが乗らなかった時期があり、3カ月ほど自転車を離れましたが、また乗りたいという気持ちが湧いてきて、短い期間でインカレに向けて休みなく練習したことです。とてもきつかったですが、たくさんの方がサポートしてくださり、最高のレース、最高の結果を残すことができました。

 つらかったことは、2年生から団体戦でもポイントゲッターと期待されて出場させてもらったにもかかわらず、勝ちきれずに引き分けに終わり、個人戦でも思うように勝てない時期があったことです。周囲の声を気にしてやりたいことができずに萎縮してしまい、自分を見失っていました。3年生の頃から、「このままでは終わりたくない」と思って、「自分のやるべきことをやる」ことを意識して練習に取り組みました。4年目となった今年は、夏にけがをして手術するほどでしたが、「けがしたから強くなれたんだ」と思えるように練習をやり通し、最後の11月の講道館杯で優勝することができました。

柔道部 森 健心さん

――部活や学校生活を通して学んだことは?

 部活動ではサッカーだけではなく、社会性や人としてのあり方を学ぶことができました。栗田大輔監督から、サッカー部はプロサッカー選手を育成する場ではなく、人間形成の場であると教えられてきました。また、大学生活では、1日24時間をどう使うのかを自分でマネジメントし、将来の自分のありたい姿から逆算して取り組むことを学びました。

写真=明大スポーツ新聞部

稲山 高校生の時に明大の練習を体験させていただく機会があり、雰囲気の良さが気に入って入部を決めました。これまでの部活動を通して、この雰囲気の良さというのが自分にとって本当に大切だと実感しています。女子部員が4人と少数ですが、コミュニケーションを取ってチーム力を高めることができています。また、サポートする側に回ったときの苦労を経験できたことも財産です。部員の大会のエントリーなどの事務作業を経験し、これまで周りの人がサポートしてくれていたことに気付きました。部活動以外の生活でも、誰かがサポートしてくれていることに思いをはせ、感謝しています。これからは自分も責任感を持ってサポート役を果たしたいと思っています。

渡部 少し話は脱線しますが、実は稲山さんとは小学生からの親友です。アスリートの発掘を目指す「プラチナキッズ」というプロジェクトに参加した時に出会い、小学校4年生から6年生まで一緒に活動しました。中学・高校は別々になりましたが、明治大学で再会できました。競技は違いますが、同じ目標を持つ友達が近くにいるのは、頑張れる源です。入部してからは、監督・コーチから、「自分で考える自主練」などさまざまな学びがありました。部活動以外でも、同じクラスの友達に授業で分からないことを教えてもらったり、就活の話を聞いたり、たくさんの人と交流し多くのことを吸収しています。

写真=明大スポーツ新聞部

 大学入学以前もさまざまな大会で勝っていたので、明大に入学した時には、普通に振る舞っていても、仲間から距離を取られることが多かったと思います。柔道は相手と組んだ時に強さが伝わるので、少人数しかいない同級生からも怖がられていたというか、そういう雰囲気を無意識に出してしまっていたことに気付きました。試合後や練習後など畳を降りた時には、人を寄せ付けないピリピリ感を消して、仲間と垣根を外して話せる関係性を持つことも大事だと思うようになりました。

――最後に、皆さんを支えてくれる家族に向けて一言お願いします

 サッカーを続けるために経済面などで苦労をかけてしまったので、プロ入り後すぐに活躍して、しっかり親孝行したいです。

稲山 試合の度に家族がLINEで応援メッセージをくれます。勝っても負けても「お疲れさま」と声をかけてくれます。みんなに感謝しているのですが、一番感謝の気持ちを伝えたいのは母です。5人兄弟の末っ子の私にやりたいことをやらせてもらい感謝しています。母への感謝の気持ちを胸に、結果を残したいです。

写真=明大スポーツ新聞部

渡部 自転車部は男子寮しかなかったので、明大に入学が決まってから、母と寮の近くに引っ越しました。食事をはじめ生活は全て母がサポートしてくれています。感謝の気持ちでいっぱいで、結果で恩返ししたいです。

 両親も3人兄弟も柔道をしている家族です。それだけに、負けた時も、簡単には優しい言葉をかけてもらえません。「家族にも味方がいないのか」と思ったこともありますが、一番応援してくれるのは家族です。「どんなに負けても最後の最後まで優勝できると信じて応援してくれてありがとう」という気持ちでいっぱいです。また、東京での全国大会では、福岡から祖父母も応援に駆けつけてくれます。これまで負けてばかりの姿しか見せられなかったのですが、(先日の講道館杯で)優勝した姿を久しぶりに見せることができてとてもうれしかったです。

各選手のプロフィールと今後の意気込みをうかがいました!

サッカー部 岡 哲平
政治経済学部4年。DF。2022年関東大学1部リーグ優勝時にベストイレブン、全日本選抜選出など。卒業後はFC東京に加入予定
「プロ1年目からレギュラーをつかみ、活躍したいです。さらに、日本代表、欧州リーグで活躍することが目標です」

フェンシング部 稲山 友梨
経営学部3年。2021年全日本学生フェンシング選手権大会女子エペ個人戦で優勝。同年、関東学生選手権大会の個人戦優勝。団体戦では2022年の全日本学生フェンシング王座決定戦・全日本選手権大会の女子エペで、女子初優勝を果たす
「悔いが残らないように毎試合ベストを尽くし、個人では関カレとインカレ優勝の奪還、団体5冠達成が目標です。卒業後は、どの道に進んでも目標を達成できる人間になりたいです」

自転車部 渡部 春雅
政治経済学部3年。2023年文部科学大臣杯 第78回全日本大学対抗選手権自転車競技大会トラック(女子3kmインディヴィデュアル・パーシュート、女子オムニアム)優勝など、多数の大会で上位入賞を果たす
「2月に行われる世界選手権への挑戦と、2024年のインカレで必ず勝ちたいです。卒業後も自転車は続けます。世界で活躍できる選手になりたいです」

柔道部 森 健心
政治経済学部4年。2023年6月の全日本学生優勝大会での左ひじ故障を乗り越え、2023年度講道館杯全日本柔道体重別選手権大会90キロ級で優勝。卒業後は実業団チームのパーク24㈱に入り柔道を続ける
「卒業前に国際大会があるので、優勝を目指して頑張ります。将来は世界選手権やオリンピックでの優勝が目標です」

こちらの記事は明治大学広報第781号(2024年1月発行)、広報誌『明治』第100号(2024年1月発行)からの転載です。ページの内容や掲載者のプロフィールなどは、記事公開当時のものです。

※ページの内容や掲載者のプロフィールなどは、記事公開当時のものです

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