
1999年3月明治大学政治経済学部経済学科を卒業。同年4月、株式会社日本交通公社(現株式会社JTB)に入社。法人営業として中小企業を中心に旅行企画提案を行う。3年半の経験を経て起業。現在はベトナムで8店舗、東京で1店舗の飲食店を経営。学生時代は教職課程も履修し教員免許を取得。
現在の仕事について教えてください。
2006年に東京(五反田)に初出店したのを皮切りに、ホーチミンで7店舗、ダナンで1店舗の飲食店経営に携わっています。大学時代、アルバイトで居酒屋のキッチンスタッフとして働いており、飲食業に興味を持っていたものの、当時の飲食業の労働環境はとても過酷で、自分自身の理想の働き方とはかけ離れていました。そのため新卒では幼少期や大学時代の経験から、飲食業界と同様に興味を持った旅行業界を選択しました。
そこから起業に至ったきっかけを教えてください。
当時の上司から紹介された1冊の本です。『青年社長』(角川文庫)という本で、ワタミ株式会社の創業者である渡邉美樹さんが、ワタミを起業して上場させるまでを描いた作品です。「自分自身が経営者になり、お店のルールを決めれば、飲食業に携わることができる」と気付かされました。『夢に日付を!』という渡邉さんの言葉の通り、自身の夢である飲食店オープンの達成期限を定め、目標に向け行動を開始しました。最終的には、目標であった30歳の2日前に五反田に初出店することができました。
2店舗目以降、出店地を海外にしたのはなぜですか。
国内でさらに店舗展開を考えていましたが、条件に合う物件が見つかりませんでした。ちょうどそのタイミングで、初出店の際に店舗デザインを担当いただいた方から、ベトナム(ホーチミン)での仕事に携わっていることを伺いました。もともと海外にも興味があり、JTB時代にも渡航経験のあるホーチミンだったこともあり、「海外に出店することもおもしろいんじゃないか?」と視点を変えて考えるようになりました。
さまざまなシミュレーション、人脈づくり、ベトナムについての理解など、準備期間を十分にとった上で、初出店の時と同様に目標を設定して行動し、36歳の時に海外出店を実現しました。
大きな目標を達成してきている要因は何だと思いますか。
要因の一つは、「家族の存在」です。当時は子供が幼かったにもかかわらず、家族全員がベトナムについてきてくれました。家族が近くにいてくれることで、仕事のオン/オフが自然とできる環境になっていました。初めて携わる仕事でストレスも多い中、家族に支えてもらったことが大きかったです。
もう一つ、ベトナム(ホーチミン)という環境が合っていた、という点も挙げられます。他の国での出店も経験しましたが、ベトナムは個人的に国民性や文化などの相性が良く、とにかく仕事をしていて楽しかったです。新しく取り組むことに対する失敗が怖いというより、目標に向かって進んでいく「楽しい」が先にあった感じです。
日々の仕事のやりがいと今後の目標について教えてください。
現地の人に日本食を理解してもらい、好きになってもらえることが目に見えるやりがいです。この先の目標としては、店舗数を増やしていくというよりも、既存店をブラッシュアップさせてより良いお店にして、売上を上げていくことを目指しています。
ベトナムの日本人街以外のエリアにも店舗を出店していますが、やはり日本人が少ない分、苦戦しています。ただ、この店舗のように、日本人以外をターゲットとしているエリアで日本食文化を浸透させて、そこでしっかりと目標売上を達成できるようにする、そういった成長が期待できるのも楽しみです。やはり、楽しんでなんぼ、これが大事です。海外は特に心が折れやすい環境が多いので、「楽しい」と感じることでそれに負けないように意識しています。
一番つらかったことや苦労したことを教えてください。
新型コロナウイルスの影響は大きかったです。ベトナムは完全ロックダウンで外出も禁止という状況でした。当時は4店舗を経営していたのですが、日本人の職人さん、現地従業員も抱えながら、何もできず資金が尽きていくのが目に見えて分かる毎日。これからの人生、どのように生きていけば良いのかも分からずとにかく不安でした。「今できることをやろう」と頭を切り替え、会計・簿記やベトナム語の勉強に時間を費やし、料理・食事など家族との時間を楽しむようにしました。
明大生に向けてメッセージをお願いします。
学生時代は、まず行動してみよう!そして、視点を世界に向けてほしいと思います。
英語ができないから、語学に自信がないから、という「できない理由」で、行動に移す前に踏みとどまってしまう傾向は日本人の特性でもあります。実際に見たり、聞いたり、行動に移すことで、経験値は少なからず高まり、それによって選択できることも広がっていきます。ぜひ、まずは行動してみてください。
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