現在の仕事について教えてください。
「HIYORI BROT(ヒヨリブロート)」という通販専門のパン屋を営んでいます。個人経営なので、製造から発送、事務、広報などをすべて一人でこなしています。月の満ち欠けをもとに営業しており、新月から月齢20まではパンを焼き、残りの期間は旅をしてパンの食材を探したり、生産者のもとへ出向いて一緒に作業をしたりしています。そうすることによって、新しいインスピレーションを常にもらえるだけでなく、ちょっとしたことで破棄されがちな野菜や果物をきちんと買い取って商品にして、誰かが無理をする経済構造を変えられるようにと思っています。そもそも、もったいないですしね。

「ヒヨリブロート」について
ドイツを旅し、パン屋で研修させてもらいながら感じたことを実践するようにしています。顔の見える生産者のものを使うということや、人間もパンの酵母も地球の一部であるという考え方です。そのため、なるべく素材は生産者の方に会いに行き、こだわりや思いを共有いただいた上で使うようにしています。まさに、大事な人を思って、自分の足で駆け回り、心を込めて作る「ご馳走」の発想です。一年中、その時々の素材でパンを焼くので、パンのご注文はお任せセットのみです。少しずつですが、ご理解いただける方が増えていることをありがたく思っています。

塚本さんの一日の流れ
8:30 | 厨房入り 朝ごはんを取りながら、生地の発酵状況チェックなどの準備をします。 |
9:30 | 生地の分割、成形、焼成 すぐに急速冷凍庫で冷凍しながら作業します。 |
15:30 | 冷凍されたパンを梱包、発送 |
17:00 | 片付けと掃除 |
19:00 | 休憩と食事 |
20:00 | 仕込みの準備 |
22:00 | 次の日の生地の仕込み |
26:00 | 終了 その日にこなさなければならない事務仕事がある場合はここから作業します。 |
現在の仕事を選んだきっかけを教えてください。
大学時代の親友がパン職人で、一緒にパン屋を巡るうちに、自分自身もパン屋を志すようになりました。実はパン自体は大好きというわけではなく、それぞれのパン屋の個性が、パン職人自身を表していることに興味を持ちました。また、リクルートで関わっていた転職に関する仕事は、個人の人生において数回しかないものであるのに対し、パン屋は日常にあることが気に入っているポイントです。
仕事をする上でのこだわりは?
なるべく顔の見える生産者のものを使ってパンを作ることです。また、買っていただいた方が遠い親戚から届いたような気持になれるように、自分の人となりを開示するようにし、通販でありながらも心の通ったやり取りを心掛けています。

仕事をしていて一番うれしかったことは?
昔の知り合いや友人から注文をもらったことです。特に、リクルートを辞めるときにずいぶんと相談に乗ってくださった先輩や同僚から注文をもらうと、ほんの少し成長した姿をお見せできた気がしてうれしいです。
一番つらかったことや、苦労したことも教えてください。
テレビ番組で取材していただいたあと、今も想像以上にたくさんのご注文をいただいていることです。とてもうれしくありがたいことであると同時に、パンという日常の糧をすぐにお届けできず、申し訳なく思うジレンマを感じています。一つ一つ真面目にやるだけなので、苦労のうちではないかもしれません。
仕事におけるマストアイテムはなんですか?
月齢カレンダーと愛車の「あずき」です。月齢に沿って営業しているため、常に月齢カレンダーと夜空を見上げることが欠かせません。また、旅に出る期間の相棒は、愛車の「あずき」です。古い車ですが、大概どこまででも車で行くため、愛着があります。

明大生に向けてメッセージをお願いします。
大学生のころには思い描くこともなかった未来にいます。当時は30代といえば、もう大人で何も困らないと思っていましたが、実際になってみると毎日がドキドキとワクワクの連続で、子ども以上に子どもの心持ちです。すごく楽しいので、安心して学生生活を楽しんでください。大学時代に学んだことも、友人と遊んだことも、バイトも、だらだらしたことさえも、すべてが未来の自分の土台になると思います。
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