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OB・OG奮闘記
2023.10.26

日本出版販売株式会社で活躍する一方、自身のマンガ制作にも励む!中村太一さん

文学部卒業生就活
協力してくれた卒業生中村太一さん(2018年文学部卒業)

勤務先 日本出版販売株式会社(ねりま流通センター配属)

2018年3月、文学部を卒業後、日本出版販売株式会社に入社。現在ねりま流通センターに所属。雑誌や漫画を扱うセンターで北海道から沖縄まで、全国のあらゆる書店に正しく書籍が届くように現場を管理する業務に携わっている。学生時代は明治大学漫画研究会のサークル活動に力を入れていた。自身のマンガ作品『人形泥棒』において、第25回アックスマンガ新人賞受賞!

文学や制作活動に興味を持ったきっかけを教えてください。

文学に対して本格的に興味が湧いたのは、大学に入学してからです。特に、批評理論や小説の物語構造を学ぶ授業が好きで、哲学書や評論文など、小説以外の本も読むようになりました。

絵は幼い頃から描いていて、物語の創作も好きでしたが、きちんと形にしたいと思ったのは大学の漫画研究会サークルに入ってからです。それぞれの創作物をお互いに見せ合ってアドバイスし合う環境の中で、先輩のマンガを読んだことがきっかけで、「自分も面白いマンガを描きたい!」と思うようになりました。

現在の制作活動について教えてください。

現在は会社員として週5日働きながら、退勤後や週末の時間にマンガを描いています。とにかく時間が足りないことが悩みです。週末は予定が入ってしまうことが多いので、平日の退勤後の時間を大切にしています。入社したばかりの頃は仕事と執筆の両立が大変でしたが、最近はルーティン化されて、スイッチの切り替えがうまくできるようになってきました。集中して作業していると、仕事での疲れを忘れることができるのでストレス解消になります。

勤務先の流通センター事務所内にある、私のデスクです

文学や制作活動の面白さについて教えてください。

自分の空想を絵や言葉を通して具現化していくことは、とてもスリリングで面白い体験だと感じます。思考が客体化されることで、自分自身が今まで気付かなかった一面が見え、周囲の人から評価をもらえたり、他の行為では得難い楽しさを味わえたりすることができます。

現在の制作活動において、意識していることや心掛けていることを教えてください。

大前提として、制作活動は自分が好きで行っていることなので、その中でうそをついたり、したくないことをしたりしては意味がないと思っています。そのため、「自分が何を感じていて、本当はどのようなことを言いたいのか」常に自問自答するように心掛けています。

一つの作品が完成するまでのフローと完成までに掛かる時間を教えてください。

思い付いたアイデアは、日頃からスマートフォンやメモ帳に書き留めていて、時間に余裕ができたらそれらを絵にしたり、文章にしたりして、こねくり回しています。アイデアが固まって、なんとなくマンガにできそうだと思ったら描きはじめます。ページ数によりますが、理想は大体プロット(※1)を考える作業で1カ月、ネーム(※2)から作画の作業で3カ月の計4カ月かけて完成させます。

※1 プロット:小説、劇、長詩などの筋立て、構成のこと

※2 ネーム:マンガを描く際のコマ割り、コマごとの構図、セリフ、キャラクターの配置などを大まかに表したもの

自宅の作業スペースです

文学部での学びや経験が、現在の活動に生かされているところを具体的に教えてください。

文学部での経験のうち、最も今に生きていると感じるのは、卒業論文を執筆したことです。3万字の文章を書いたのは人生で初めてのことだったのですが、この執筆を通して、社会へ踏み出すための自分なりの指針のようなものをつかむことができました。今でも、マンガの制作に行き詰まった時などに時折読み返すことがあるほど、卒業論文は自分の活動の土台になっています。

現在の活動をしていて一番うれしかったこと、やりがいを感じたことを教えてください。

第25回アックスマンガ新人賞受賞の報告をしたところ、大学の先生や先輩、友人たちがマンガを読んで感想を送ってくれたことです。とてもうれしくて、何度も読み返しています。「この人たちをもっとワクワクさせるようなマンガを描きたい!」と思うようになりました。

一番つらかったことや苦労したことを教えてください。

好きでしていることなので、つらいことは特にありません。強いて言えば、寝不足がつらいです。

執筆活動におけるマストアイテムはなんですか?

iPad ProとRollbahnのメモ帳です。形式が定まっている方が執筆も進むのですが、このメモ帳は大量消費するには少々値が張るので、近々別のものに替えたいと思っています。

執筆に不可欠なiPad ProとRollbahnのメモ帳です

今後の目標や将来に向けて努力していることを教えてください。

現在は、新人賞をいただいた雑誌での連載を目指して長編のプロットを練っています。まずはそれを完成させることが今の目標です。将来的には単行本を出したいです。

それから、大学時代の友人とZINE(※3)を作成し、フリーマーケットに出店する計画があるので、そちらも楽しみつつ進めていきたいです。

※3 ZINE:個人やグループが自由な手法、テーマで制作した冊子のこと

明大生に向けてメッセージをお願いします。

友人を大切に。一人で行動することも大切ですが、友人や先輩・後輩と一緒に、たくさんの経験をしてほしいです。学生時代のかけがえのない経験を誰かと共有したということが、今後社会を歩んでいく上で大きなよりどころとなってくれます。

※ページの内容や掲載者のプロフィールなどは、記事公開当時のものです

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