
明大生が、所属するゼミ・研究室を紹介する「ようこそ研究室へ」。今回は農学部の熊谷さんが、山田千早研究室を紹介してくれます!
研究室概要紹介
私たち人間の生活は、微生物の働きと密接な関係にあります。ある種の微生物はヒトの腸内で健康の維持増進に関わり、また別の種は食品中で発酵をすることにより複雑で独特の味わいを作り出すなど、微生物は人間の生活において重要な役割を担っています。山田千早研究室(発酵食品学研究室)では、離乳期幼児の腸内細菌が持つ酵素や、発酵食品中に存在する有用微生物の探索など、多種多様なテーマで研究を進めています。
山田研究室ではこんなことを学んでいます!
発酵食品学研究室では、主に大きく分けて二つの分野について研究を行っています。
一つ目は、微生物の持つ酵素についての研究です。ヒトの健康に重要な、離乳期幼児の腸内に現れる微生物が持つ、ヒトミルクオリゴ糖(※1)の加水分解酵素(※2)についての構造解析や機能改変、さらにはヒト以外の生物の腸内細菌が有する、新たな特異性を持つ酵素の探索などを目標にして、研究を進めています。
二つ目は、発酵食品中に存在する有用微生物についての研究です。特に力を入れているのは、黒酢や壺酢(※3)の生産に重要な役割を担う乳酸菌や酢酸菌についての研究です。黒酢や壺酢中に存在する特異的な菌株を単離し、その特徴や機能性について解明することで、私たちの生活に役立てることができるのではないかと考えています。具体的には、これらの微生物が生成する機能性物質の定量や、微生物が持つ抗菌物質に対する耐性メカニズムを、解明することを目標にしています。
※1 ヒトミルクオリゴ糖:乳児の腸内のビフィズス菌を増やして感染症から守る、人間の母乳の中に含まれるオリゴ糖
※2 加水分解酵素:オリゴ糖などの化合物が水分子と反応することでさらに小さな物質に分解する、その働きを促す酵素の総称
※3 壺酢:鹿児島県福山町で伝統的に作られている、屋外に置いた壺の中で醸造する黒酢

アピールポイント
嫌気培養(※4)などの微生物の扱い方や遺伝子操作、クロマトグラフィー(※5)による酵素の精製など、さまざまな実験手法を身に付けることができます。先生と学生との距離が非常に近いため、研究活動の進め方や勉強についての相談がしやすい研究室です。また、2023年度に設立されたばかりの研究室なので、実験器具や家具類は新しい物が多く、今後さらにアップデートしていく予定です。
大学卒業後の進路は、就職と大学院進学が同程度であり、就職先に関しては多種多様であることから、進路選択の幅を広げることができる研究室です!
※4 嫌気培養:酸素がない環境で菌を増殖させること
※5 クロマトグラフィー:分析対象の混合物を、分離・検出する方法の総称
研究室の雰囲気
非常に自由度の高い研究室です。先生・先輩・後輩との距離が近く、会話の絶えないにぎやかな雰囲気です。一方で、ゼミや実験には、きちんとめりはりをつけて真剣に取り組んでいます。実験にはコアタイムがなく、それぞれが自由な曜日・時間に来て行っているため、研究室に人がいないことはほとんどありません。先生と学生の居室が同じなので、研究についてのディスカッションが毎日のように行われています。
ゼミは週1日行っており、毎回2人~3人が自身の研究についての進捗発表や英語論文の紹介を行っています。研究は、自分の興味のあるテーマを選んで実験することができます。

研究活動以外のイベントとしては、年に一度の新入生歓迎会や忘年会、研究室旅行があります。また、「発酵食品学研究室」という名の通り、冷蔵庫にはチーズやヨーグルトなどの発酵食品が常時保管してあり、実験の合間の休憩時間にみんなで食べ比べを行っています。

先生の紹介
山田千早先生
山田先生は、2023年度に明治大学に着任されました。そのため、私たちも研究室に入って初めて関わらせていただくようになりましたが、とても親しみやすく優しい先生なので、ほんの数カ月で仲を深めることができました。落ち着いた印象の先生ですが、驚いた時や喜んだ時などに現れるチャーミングな一面が魅力的です!
山田先生は、発酵食品学や微生物学、酵素学に精通されているため、私たちの研究の進め方や学習についての相談に対して、的確でさまざまなアドバイスをくださる、非常に頼りになる先生です。
私はこんな理由で研究室を選びました!
研究室の立ち上げを行うことができることと、将来につながる研究ができると考えたことから、この研究室を選びました。
まず、1期生として研究室の立ち上げを行うことができる点については、これから長く続いていく研究室の歴史の第一歩になることができるということに魅力を感じました。実際に、研究室内のレイアウトや実験器具の配置、研究室のルールや行事などの考案を、私たちゼミ生たちが行いました。このような経験はめったにできることではないので、発酵食品学研究室の1期生になることができて良かったです。
次に、将来につながる研究ができると考えた点については、山田先生の研究テーマの紹介を聞いたことがきっかけでした。研究室配属前は、目指す進路がまだ特に決まっていなかったのですが、山田先生のお話を伺って、タンパク質の構造解析に興味を持ちました。タンパク質の構造解析手法が将来の職業につながると感じたため、発酵食品学研究室でこのテーマを研究することを決めました。

山田研究室あれこれ
人数
4年次:8人、3年次:8人
OB・OGの主な進路
大学院進学(学内・学外)、就職(化粧品系、分析系、医薬品系)
研究室の秘密道具・グッズ
ベンチソファーと、みんなで組み立てた食器棚がお気に入りです!
紹介者(写真右)と山田先生
私の研究テーマ
「ヒト腸内Roseburia属細菌がもつフコシル化糖鎖利用戦略の解明」
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