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2017.02.10

【文学部】萩原芳子ゼミナール「‟答えのない題材”を前にチームとしての考えを作り出す」

kenkyu28-1

ゼミ概要紹介

「神話と戦争」をテーマにフランスの戯曲を研究しています。古代から現代に至る戯曲を取り上げ、その背景にある神話や時代、作者、作品の構成についてはもちろん、動画、原作から引用して作品についての理解を深めています。また秋学期の後半にはの要望もあって、移民問題についての研究を行いました。移民問題については、フランスという多様な化・人種が混在する国の移民の歴史を学びます。そして移民問題・人種の違いをテーマにした作品にも触れ、日本で生活しているとなかなか触れることができない問題について考えるきっかけになりました。

萩原ゼミではこんなことを学んでいます!

フランス演劇を中心に、今年は「悲劇と戦争」のテーマで学んでいます。神話を基にした古代と現代の戯曲に多く触れることができ、そこでは神話の人物や神々がさまざまな作品に登場しています。作品を学ぶ機会が増えるにつれて、神話の人物の関係性や、神々がどのような存在として描かれているのか、戦争や不和がどのように扱われているのかを自然と理解することができます。さらに、で扱った作品に関連した詩や文書を音読し翻訳する機会もあり、フランス語を読む力も身に付けることができます。

アピールポイント

本演習では、発表を聞く機会が多くありました。そのため、フランス悲劇に多く精通できると同時に、発表を聞いて意見や疑問を投げかける力が身に付きました。回を重ねるごとにフランス悲劇に対しての知識が増えるため、自分なりの考えを発言できるし、それに対して他の学生はどのような考えを持ったのかを聞くことで、相乗効果で理解を深められました。さらに、授業で扱った作品に関連した詩や文書を音読、翻訳する機会もあり、フランス語を読む力も身に付けることができました。

ゼミ同士の横断的な試み

フランス文学専攻では他の専攻と異なり実習がないため、今まで学年間の繋がりがあまりありませんでした。よって、2015年から学生の希望により、専攻内の1~4年生で複数の合同チームを作り、プレゼン大会を行うことになりました。準備期間、学生たちは必死になって一つの作品あるいは作者と向き合いました。キャンパスも知識も違うメンバーが文学という「答えのない題材」を前にチームとしての考えを作りだすのは、簡単ではありませんでした。そのため、大会終了後にメンバー全員で味わう達成感は格別でした。そのおかげで、学生がを運営するための組織ができ、今年度もプレゼン大会以外に懇親会や学園祭の催し物も企画しています。

佐藤達夫教育研究振興基金について

フランス文学専攻のもう一つの大きな取り組みとして、昨年度から明治大学OBの佐藤達夫様による寄付をもとに、多くの学生が長・短期のをすることが可能になりました。私も2016年2月~3月にかけて、パリの国立ディドロ大学での3週間の留学プロジェクトに参加しました。全部で16名の学生が1人または2人で研究計画を立てて現地を訪れ、日本とは異なる多様なフランス文化を肌で感じることができました。日常では経験できない刺激的な生活の中で、研究テーマ以外にも多くの発見があり、充実した時間を過ごすことができました。基金により今年度も10名近くの学生が長期留学を申請し、同時に多くの学生が短期の研修でフランスを訪れます。基金のおかげでフランスとの距離が縮まっているように思います。

関連ページ:2015年度佐藤達夫教育研究振興基金によるフランス研修を実施しました

ゼミの雰囲気

穏やかさと、ある程度の緊張感が保たれたバランスの良い雰囲気です。萩原先生の持つ穏やかで優しい雰囲気がそのまま授業の雰囲気となっており、誰もがリラックスして授業を受けることができます。また、履修者が多いためほとんど毎週、誰かしらによる発表の時間が設けられ、その発表や作品について、おのおのが意見や感想を述べ合う時間があります。その際、発表者による作品のあらすじや研究、考察を踏まえた意見が求められます。そのため授業の雰囲気は穏やかなだけでなく、程よい緊張感を保つことができています。

先生の紹介

萩原先生は、多くの学生から愛されている先生です。たまにジョークを言ったり、みんなでツッコミを入れたくなるような発言をしたりと、いつでも周囲の人を笑顔にしてくれます。加えて、フランス戯曲に関して豊富な知識を持っているため、学生が授業内でわからないことがあった時には、複雑な点を分かりやすく詳細に説明してくれます。その人柄から学生の信頼も厚く、初回授業は教室に人が溢れるほど履修希望者が集まりました。

私はこんな理由でゼミを選びました!

私はフランスの戯曲作品に関して全く詳しくなかったのですが、萩原先生が初回授業で例に挙げてくれた作品を見ると、高校時代に世界史で学んだ作品や作者名がいくつかあることに気付き、これらを世界史ではなく、フランス文学という視点から学べることに興味を持ちました。また、フランス文学専攻として、これまでフランス語の文や講読、会話、近代文学や思想などには触れてきましたが、宗教の絡む神話や戯曲には触れたことがありませんでした。その未知な部分に踏み込んでみたいという思いから、萩原先生の演習を履修しました。

萩原ゼミあれこれ

男女比・人数

男性5人:女性 14人=19人

名物ゼミ生、OB・OG

神話が大好きでとても詳しい土橋沙耶さん。 朗読も、登場人物の役に成りきってくれるので迫力、臨場感があり、土橋さんの朗読は隠れた名物となっています。

ゼミの情報を紹介してくれた方文学部3年 佐々木斗和さん

kenkyu28-2 紹介者(写真左)と萩原先生

私の研究テーマ
春学期は、エウリピデスの『バッカイ―バッコスに憑かれた女たち』について研究しました。初めて神話について深く考える機会でした。とっつきにくいイメージだった神話の登場人物が、実際は相手の顔色をうかがって気を使ったり、自分が一番になりたいという傲慢さをみせたりと、登場人物の人間くささや、ドラマティックな展開に引き込まれました。ディオニュソス神やそれに仕える女性たち、神に従おうとしない男など多様なキャラクターと、彼らがどのように作用して物語が進んでいくのかを掘り下げて研究を行いました。
秋学期には、Marie N‘Diaye の『Papa doit manger』(パパも食べなきゃ)を取り上げました。黒人の父親と白人の母親、そしてその間に生まれた娘たちの生活をリアルに描いた作品です。登場人物の性格や心の動きをセリフから読み取り、個々がどのように成長していくのか、また作者はこの作品から何を読者に伝えたかったのかを研究しました。移民問題、人種・黒人差別だけでなく、人としての在り方まで考えさせられる壮大なテーマで、この作品のおかげでフランスで起こっている問題に対し視野がグッと広がりました。

※ページの内容や掲載者のプロフィールなどは、記事公開当時のものです

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