2022.05.16

【理工学研究科】楠瀬博明研究室「物質が示す磁性や超伝導などの多様性に潜む普遍的原理を、さまざまな理論手法を駆使して解明することが目標!」


明大生が、所属するゼミ・研究室を紹介する「ようこそ研究室へ」。今回は理工学研究科の大岩さんが、楠瀬博明研究室を紹介してくれます!
集合写真 (生田キャンパスA館前)

研究室概要紹介

この世界にある物質は、1023個に及ぶ膨大な数の原子核と電子という基本要素が、互いに影響を及ぼし合ってできています。構成元素の種類や結晶の幾何学的構造の違い、電子同士の相互作用や相対論的効果などの要素が複雑に絡み合うことで、物質の多様性が生まれます。金属や絶縁体、磁石や超伝導体などはその典型例です。

 物性理論研究室では、物質が示す多様性の中に潜む普遍的原理を、さまざまな理論手法を駆使することで解き明かしています。

物質中で生じる基本要素のハーモニーと物質の多様性

楠瀬研究室ではこんなことを学んでいます!

私たちの研究室では主に以下の3つを学びます。
(1) 物質中の多数の電子状態を扱うための基礎理論。
(2) 超伝導や磁性など、各自の研究に応じた発展的知識。
(3) 物性の解析に役立つC++, Pythonなどを用いたプログラミング技術や機械学習的手法の知識。

 週1回のゼミ、ゼミメンバー・他大学の研究者との議論などにより上記の基礎知識を学びつつ、各自の研究テーマに主体的に取り組みます。また、学会発表や論文作成などに取り組むことで、プレゼンテーション能力や論理的思考力、コミュニケーション力を培っています。

ゼミでの発表の様子

アピールポイント

教科書にある単純な例は既に分かっていることであり、現実には非常に複雑な物性現象が研究対象です。複雑な物性現象を記述するのに最適な「電子多極子」という理論ツールを世界に先駆けて開発・応用している点が、私たちの研究室の特色です。

研究室の指導教員である楠瀬教授は、「電子多極子」の基礎理論に関する論文や書籍を多数執筆していて、この分野の第一人者です。そのため本研究室では、4年次の卒業研究から世界最先端の研究を体験することができます。

研究室の雰囲気

研究熱心で真面目な学生が多く、とても明るい雰囲気の研究室です。週1回のゼミでは学年の敷居を取り払った活発な議論が行われます。コロナ禍においてもオンライン環境を活用して、自主ゼミや個人単位の議論が活発に行われています。

また、コロナ禍以前は、全国各地で開催される物理学会に積極的に参加し、研究発表だけでなく、夜には研究室のメンバーで集まり美味しい郷土料理を食事会で楽しんでいました。また、お花見や忘年会、新歓・送別会を開催していました。コロナ禍が落ち着いたら、近い将来レクリエーションも再開できるでしょう。

ゼミ後の集合写真 (駿河台キャンパス・グローバルフロント前)

先生の紹介

楠瀬博明先生

楠瀬先生はとても温厚な方で、研究に行き詰まった時や進路に悩んでいる時は、親身になって相談に乗ってくださいます。

また、「楠瀬先生、実は3人説」という都市伝説ができるほど、バイタリティ溢れる先生です!どんなに忙しくても笑顔で対応してくださるので、研究室の全員が尊敬しています。

私はこんな理由で研究室を選びました!

楠瀬先生の量子力学の講義では、「超伝導」や「磁性」などの「物性物理学」に関連した話題が随所に散りばめられています。特に、重力に逆らって物質が浮遊する「超伝導現象」の話は当時の私にとって衝撃的で、これを機に「物性物理学」の研究に徐々に引かれていき、物性理論研究室を選びました。

また、研究室訪問の際に楠瀬先生が進路に関して親身になって相談に乗ってくださったことも理由の一つです。卒業研究では「超伝導」を研究しましたが、新しい知識がどんどん増えていき、新発見にも出会う楽しさから、毎日むさぼるように研究しています。

楠瀬研究室あれこれ

人数

6人

OB・OGの主な進路先

大学院進学(明治大学、東京大学、京都大学ほか)、IT企業、教育産業など。

研究室の秘密道具・グッズ

Mac Book・iMac・iPadのMac製品3点セットと独自開発の物性解析ツール群が全員に配付されます。

物性理論研究室の受賞実績

物性理論研究室のメンバーは、新学術領域研究「J-Physics: 多極子伝導系の物理」主催の領域全体会議で、最優秀ポスター賞[1]、日本物理学会年次大会で学生優秀発表賞[2]などを受賞しています。また、昨年度に出版した論文は日本物理学会欧文誌のEditors’ Choiceに選出されました[3]。他にも多数の学内・学外賞の受賞実績があります。

研究室の情報を紹介してくれた方大岩陸人さん(理工学研究科物理学専攻博士後期課程3年・神奈川県立光陵高等学校卒)

紹介者(写真左)と楠瀬先生

私の研究テーマ
「電子多極子表現論に基づく物性現象の発現機構、および普遍的性質の解明」
博士後期課程では、物質中の電子状態を記述する第一原理計算法と、あらゆる電子状態を記述できる電子多極子表現論を組み合わせた新しい計算法を開発することで、物性現象の普遍性の解明に取り組んでいます。将来的には、開発した計算法を世界的に普及させ、物性理論の研究に新たな潮流を産み出すことが目標です。
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