
明治大学体育会サッカー部の主将を務め、今年からJ1・横浜FCに加入し、プロサッカー選手として国内最高峰の舞台で奮闘しているのが、2023年に法学部を卒業した林幸多郎さんです。実はサッカーだけでなく、弁護士を目指して司法試験にも挑む異色の選手です。高い目標を達成するための考え方について、お話を聞きました。
プロサッカー選手として活躍中。
高校卒業のタイミングでプロになる夢がかなわなかった時、大卒でのプロ入りを目指して、サッカーのレベルが高い関東の大学で経験を積もうと考え、強豪の明治大学に入学しました。4年間でサッカーの技術はもちろん、礼儀をはじめピッチ外の人間性の部分についても鍛えられました。4年次で主将を担ったことで養えた責任感は、個人のプレーが今まで以上に求められるプロのゲームでも生きています。
プロを目指すことに対して、理由を意識し始めたのは大学生になってからです。サッカーが世の中に与える影響力の大きさに改めて気付いたためです。プロになってからも、チームが勝って涙を流して喜んでいるサポーターの姿を目の当たりにしました。
現在はプロとして試合にも出ていますが、満足はしていません。選手としては、まだまだ道半ばだと思っています。レベルアップしてチームに貢献するのが、今の目標です。1回でも多く勝利をつかんで、多くの人の希望や活力を生み出したいです。
プロとして日ごろから意識していることを教えてください。
「自分を応援してくれている人への感謝は、絶対に忘れてはいけない」ということです。家族や友人、大学時代のチームメートがいたからこそ、プロとしてグラウンドに立てています。
胸に刻まれているのは、サッカー部の栗田監督からいただいた「論理的思考力、感覚的思考力、経験的思考力」というメッセージです。私は物事を理論立てて考えることは得意ですが、何事においても一辺倒な考え方だけで動いていては強くなれません。サッカーであれば論理的に局面を読むことの他、言葉で説明できない感覚的な技術や、これまでの経験を基に動くことも欠かせません。「常に、柔軟な思考とバランス感覚を持っていたい」と思っています。
司法試験合格という目標に向けて努力していることを教えてください。
元々サッカー以外の時間を勉強に充てるほど、勉強が好きです。在学中は、毎朝2時間の朝練をした後に授業へ行き、家に帰って司法試験に向けた勉強をしていました。このように話すと「すごい!」と言われますが、皆さんが映画を見たり音楽を聞いたりするのが楽しいのと一緒で、知らないことを知ることが趣味なのです。
法律の文章は難しい言い回しが多く、とっつきにくい部分はありますが、社会の土台を学ぶことができる面白さがあります。特に刑法の勉強は、「なぜこの刑法に反しているか。判決が出たのか」などがはっきりしているので、やりがいがあります。
今もチームの練習が終わったら、家に帰って司法試験の勉強をしているため、生活スタイルは大学生の頃とほとんど変わりません。今日は何の問題を何問解くかというタスクを決めて取り組むことが楽しいです。司法試験を突破することは容易ではありませんが、「この目標を達成した時に、どれだけ成長しているのだろう」という自分への興味が、原動力になっています。
もちろん疲れを感じて、勉強に取り掛かる気になれない日はあります。特に資格に関しては、勉強時間が多いからといって合格できるものではないため、自分を奮い立たせて机に向かうことも多いです。十分な睡眠を取ったり、おいしいものを食べたりと、適度な息抜きは忘れないようにしています。
目標を達成するために心掛けていることを教えてください。
意識していることは、二つあります。まず、自分を裏切る行動を取らないことです。自分が決めた目標に対して今の時点から逆算すれば、自然と今やるべきタスクが見えてきます。これを日々実行さえすれば、おのずと達成できると信じています。それらしい理由を見つけてできない、やらないと決めつけるのは、頑張れる自分を裏切っているようなものです。
どうしてもやる気が出ないときには、「少しだけ始めてみること」をお勧めします。勉強であれば1問だけ解いてみると、意外に2問、3問とペースに乗ることができます。何事にも一喜一憂しない冷静さも、タスクをこなすコツかもしれません。
そして、自分に限界を決めず信じ抜くことが大切です。プロ選手をやりながら司法試験に合格するという目標は、もしかすると無謀に見えるかもしれません。でも、ぶれずに努力を続けるために、自分だけは信じて応援してあげたいです。
受験生の皆さんにアドバイスをお願いします!
高い壁を目の前にした時、苦しい思いで頑張らなければならないと考えがちです。でも、一番の目的は頑張ることではありません。夢や目標を忘れず目の前の課題を、まっすぐやりきることを意識してみてください。一緒に合格を目指しましょう!
※記事中に掲載した写真は撮影時のみマスクを外すなどの配慮をしております
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