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思索の樹海
2023.04.06

【思索の樹海(うみ)】『学生生活への扉』―明治大学から新入生へのメッセージ―「充実した生のベースを、学生時代につくる」文学部 新本史斉先生

教員学生生活サポート思索の樹海
【思索の樹海(うみ)】『学生生活への扉』―明治大学から新入生へのメッセージ―は、新入生にお勧めしたい学生生活の過ごし方や、高校時代までとの生活の違いや面白さ・心構えなどをお伝えするコーナーです。今回は、文学部の新本史斉先生に、ご執筆いただきました。
「思索の樹海(うみ)」『学生生活への扉』を執筆いただいた先生新本史斉先生(文学部教授)
スイス、ビール湖畔での文学フェスティバルを訪れて

PROFILE:
広島県出身。明治大学文学部教授。専門はドイツ語圏文学、翻訳論、ヨーロッパ越境文学。著書に『微笑む言葉、舞い落ちる散文―ローベルト・ヴァルザー論』(鳥影社、2020年)、『ドイツ語圏のコスモポリタニズム』(共和国、2023年、分担執筆)、訳書に『もっと、海を―想起のパサージュ』(イルマ・ラクーザ、鳥影社、2018年)など。

充実した生のベースを、学生時代につくる

新入生の皆さん、ご入学おめでとうございます。新しい環境での生活を前に、期待と不安を胸に4月を迎えられていることと思います。地方高校出身の私もかつて、「授業はどれくらい難しいのか」「どんな友人ができるのか」「果たしてひと月の生活費はどのくらいかかるのか」と、さまざまな心配で緊張しながら東京での新生活を始めたことを覚えています。

出会いの中で、可能性を広げる

これまでよりも自由に時間の使い方を決められる大学時代は、いつにも増して自分の可能性を広げることのできる時期です。とはいえ可能性は自力だけで広げられるものではありません。偶然と出会いに導かれ、おのずと広がっていくものです。その契機となるのは例えば、自分一人では決して見に行かなかったような映画であり展覧会であり、どことなく気に入っていた授業で薦められた書物であり、とりわけ私の場合は、必修でとっただけだったはずの第二外国語のドイツ語でした。

思い返してみると、以降の自分の人生で重要な役割を果たすことになるものほぼ全てに、私は大学時代に出会っています。大切なのは、そうしたものに接している時に、期せずして自分の内に生じているポジティブな変化を素直に受け止めることです。「世に流通している価値や意味に従うか」それとも「心と体の声に耳を澄ますか」、これが自分にとっての出会いを逃すか逃さないかの分かれ目です。

「作家と翻訳者の出会いから生まれるもの」越境作家イルマ・ラクーザさんと、箱根にて

学内、学外で自分の可能性を広げてください

明治大学は、可能性を広げていくためのリソースをさまざまに提供してくれる場所です。私が2年前に明治大学に着任してまず驚いたのは、和泉、駿河台キャンパスの図書館の充実度です。さらに驚かされたのは、学外文化施設へのアクセスの良さです。大学を出て交通機関に乗って十数分もすれば、目的とする施設はもう目の前です。

皆さんは高校時代の大部分をコロナ禍で過ごすことを強いられた世代です。ようやく行動制限がなくなろうとしている今、学内、学外でじかにさまざまなものに触れ、五感を通して自分の可能性を広げてください。そうやって学生時代に作り上げていったベースは、社会人となってからも決して裏切ることなく、皆さんをさらなる出会いへ導いてくれるはずです。

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