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スペシャル・インタビュー
2017.08.07

株式会社エアスパイス 代表取締役 カレースター 水野仁輔さんにインタビュー【第4回】ー今後の目標、明大生へのメッセージー

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株式会社エアスパイス代表取締役 カレースター 水野仁輔さんに【第3回】は、こちら(2017年8月4日公開)

カレーについて

山下 でも作れるカレーのコツはありますか?

水野 ぜひスパイスを使ってカレーを作ってもらいたいです。クミンやコリアンダーなどはすごく香りがいいので、カレーを作るときに少し入れてみるといいですよ。カレーのルーを入れると、たいていのカレーはおいしく出来上がるので、それを安心材料として、クミンやコリアンダーを、玉ねぎなどを炒めてるときにパラパラっと入れてみてください。香りがふわっと立つ感じや、「あ、少し難しいことをやっているな」みたいな満足感を得られます。

山下 水野さんご自身がお好きなのはどんなカレーですか?

水野 僕はやっぱりスパイスカレーと言われている、スパイスだけで作るカレーが好きです。ソースの形状がさらさらしていて、スパイスの香りが際立っているようなカレーが好きで、特にチキンカレーが好きです。最近僕の中ではやっているのは、オレンジやレモンやパイナップルなどのフルーツの果肉を、スパイスと一緒にミキサーでペーストして、最後に仕上げとして入れることです。そうすると、フレーバーや甘みが付いて、チキンカレーにとても奥行きが出て、おいしくなります。

山下 すごいですね。お米は普通のお米を使っていますか?

水野 僕は日本のお米で食べるのが好きですね。

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今後の目標について

山下 これからやってみたいと思うことなどはありますか?

水野 遠い将来でいうと、パリにカレー専門店を作りたいです。日本のカレーって、国民食だから、みんなが好きで当たり前なところがあるじゃないですか。神保町なんて特に、町を歩いたらカレー専門店が山ほどありますよね。でも実は、カレー専門店ってすごく特殊なもので、日本以外にないんですよ。インドにもタイにも、ニューヨークやロンドンにもないし、世界中のどこにいっても、カレーライスだけを専門的に提供する店というのは存在しないんです。逆に、日本国内では、4、5000件あると言われています。それほど、日本人にとってカレーライスというのは、特別な存在なんです。

でも、世界中の人は、全然日本のカレーライスのことを知らないんです。最近は海外から日本に旅行に来る人が増えましたが、欧米のミュージシャンやアーティストを日本国内でアテンドしている友人によると、来日アーティストのほとんどが、日本で食べたいものは「ラーメン」だと言うそうです。ラーメンとカレーは、どちらも日本の国民食なのに、海外の人はカレーが食べたいとは言わないんです。それはなぜかというと、日本のカレーがこんなに盛り上がっているということを、知らないからですよね。

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僕は、日本のカレーはすばらしいものだと思っているので、もっといろいろな人に知ってもらいたいです。そのためには、海外にカレー専門店を出すのがいいのではないかと考えています。お店を出すのは、食にこだわりのあるところや、食べ物がすごくおいしいと言われている国や場所で挑戦した方がおもしろいと思うので、食の都であるパリでやりたいです。

具体的には、パリに住んでいる僕の友人で、カレーのことを一緒に研究している日本人が、現地のレストランでオーナーシェフをやっているので、とりあえず、この秋に一度パリに行く予定です。彼のレストランでランチタイムなどに、僕と彼で一緒にカレーを作って、お客さんに提供してみたり、向こうでどんなカレーが受けそうなのかリサーチして、将来的にはパリでカレー屋が出せるといいなと思っています。 今、パリではフードトラックが流行っているらしいので、そういった形で店を出したくて、ひとまずその足がかりとして、先月から都内でフードトラックのカレー屋さんを始めました。それが「カレースター計画」のひとつである「カレーの車」というもので、カレーの車を国内のさまざまな場所で走らせて、カレーの販売をしています。その車で、そのままパリに行ければいいな、と何となく思っています。

明大生へのメッセージ

山下 これから社会に出る明治大学の学生に向けて、大学4年間の経験を踏まえてアドバイスをください。

水野 やりたいことをやるのが一番いいと思います。僕は大学生活でも、大学卒業してからの20年間、常にやりたいことがあって、それをやってきました。高校生くらいのころからずっと、「将来なりたいものがない」ということがコンプレックスでしたが、今振り返って思えば、たとえば18歳や20歳のころの、知識や経験から出てくるなりたいものには、選択肢が少ないです。自分に向いていることや行きたい会社は、その年の自分が想像できる範囲のものでしかないので、そのときの自分の想像を超えるものになれる可能性もあります。

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僕は今43歳ですが、50歳になったときに自分がどこにいるか、想像がつきません。想像したとしてもたかだか43歳の想像力はいまいちなので、50歳になったときはもっと世界が広がっているかもしれません。そのため、なりたいものを探すというのは少し無理がある気がしています。

しかし、やりたいことはたくさんあったので、もうなりたいものを探すのはやめようと30歳のときに考えました。今自分の目の前にあるやりたいことを、とにかく全力でやるように切り替えて30代を過ごしたら、いつの間にか自分の想像つかない道が開けていました。

学校の勉強をちゃんとしていい会社に行くという事はすごく大事ですし、現実的にはそれで安定した生活を送るのでいいかもしれませんが、どこかでそれとは別に、自分のやりたいことを常に考えておくのがいいと思います。僕は広告代理店に就職しましたが、広告の仕事が本当に自分のやりたいことだろうかというのはずっと考えていたので、そういうことを考えていると、充実するのではないか思います。

水野仁輔さんから明大生へ動画メッセージ
After the Interview…

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学部4年 山下美奈さん 学生時代から夢をまっすぐ追いかけ続けている姿勢が印象的でした。スパイスからカレー作りをして、おいしいと思ってくれる人がより増えるように、たくさんの場所を駆け巡っているとお聞きして、驚きました。私も、社会人になっても、目の前のことに囚われるだけでなく、大きな目標や夢を持てるようになりたいです!

内容はインタビュー当時(2017年7月5日)のものです。

プロフィール株式会社エアスパイス代表取締役 カレースター 水野仁輔さん

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1998年商学部卒業。大学では大友ゼミナールに所属。卒業後、株式会社アサツー ディ・ケイなどを経て2016年、株式会社エアスパイスを設立。肩書は「カレースター」(コピーライター・糸井重里さん命名)。日本全国のでのライブクッキング、カレーやスパイスの専門家としての雑誌やテレビ出演、100冊以上のカレーの本を作るなど、その活動は多岐にわたる。現在は「カレースター計画」に取り組む。

※ページの内容や掲載者のプロフィールなどは、記事公開当時のものです

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