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スペシャル・インタビュー
2017.08.03

株式会社エアスパイス 代表取締役 カレースター 水野仁輔さんにインタビュー【第2回】ー現在のお仕事について②ー

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株式会社エアスパイス代表取締役 カレースター 水野仁輔さんに【第1回】は、こちら(2017年8月2日公開)

現在のお仕事について

山下 今までしてきたお仕事は、スパイスを作ることに関連しているのですか?

水野 20年近くやってきたのは、出張料理です。全国各地のいろいろなにスパイスを持って行って、そこでライブクッキングでいろいろなカレーを作って、お客さんに提供するというのがメインの活動でした。スパイスやカレーに特化した「出張料理人」という肩書で、20年ほど全国のいろいろなイベントに行っていました。

山下 どういうイベントですか?

水野 たとえば、山梨県の山の中でやるキャンプと音楽のフェスみたいなところにアーティストとして呼ばれて、ライブクッキングをしたりしていました。今でもその活動は継続して行っていて、今週末は沖縄に行きます。沖縄の料理家さんが僕をゲストに招いてくれて、土曜日の夜にライブクッキングのショーと、翌日日曜日のお昼に料理教室を。ふたつを合体させたイベントを組んでくれて。そういう全国のイベントに出て、カレーを作るというのは、一番長くやってきていることです。

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山下 お仕事をしていて、うれしかったことと、逆に苦労したことを教えてください。

水野 とにかく一番うれしかったのは、エアスパイスはインターネット販売もしているのですが、品ページの、買った人のコメントに「一回で天才になった」というコメントがあったことです。その人は、スパイスでカレーを作ったことが全くない人か、何回も作ったことがあるけど、自分の思うようなおいしい味にならなかった人なのかは分かりません。でも、この商品を使ってレシピ通りに作ったら、その人は一回で天才になったと思ってくれたんです。そのコメントを見たとき、僕が作っているこの商品やサービスというのは、どこかの誰かを一回で天才にする商品なんだと思って、いまだにエアスパイスの活動をする糧になります。誰かが、「自分は天才なんじゃないか」と思ってくれるかもしれないことを想像すると、それはすごくうれしいです。

一方で、すごく難しいのは、全く同じ商品が届いて作った人のコメントで、「全然味がしませんでした」という人もいたことです。同じレシピで、同じスパイスでチキンカレーを作っているはずなのに、その人にとってはおいしくなかったということです。

日本中の人全員がおいしいと言ってくれるカレーの味はなかなか作れないので、いくつかのスパイスを選んで、レシピを開発するときは、一定の人たちに向けて作っています。具体的に言うと、そこそこ料理に興味があって、自分でもやる人で、ちょっとスパイス使ってみたいかも、くらいの人にはぴったりの商品なんです。でも、家でルーを使ったカレーしか作ったことがありません、という人にとっては、少しハードルが高いかもしれません。どこかの誰かにとっては天才だと思うほどおいしいのに、どこかの誰かにとっては味がしないという感想になるのです。

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この商品に限らず、いつも出張料理をして、ライブクッキングで何種類ものカレーを作るのですが、参加するお客さん全員の求めてる味が、どんな味なのか僕がある程度推測して、その人たちが喜んでくれるようなカレーを作ります。

ライブクッキングはコミュニケーションが取れるので、「普段カレーどんなの食べてるんですか?」とか「スパイス使って作ったことあるんですか?」とか、いろいろなことを話していると、この人たちがおいしいと言ってくれる味はだいたいこのあたりにあるんだな、ということが分かるので、それを生かすことができます。でも、エアスパイスは、インターネットの先に、どういう人たちがいるのか見えません。僕は届ける側なので、受け取る人がどういう人なのかが分からないと、そこがミスマッチしたら喜んでもらえなということが難しいところです。

山下 そうですね。

水野 僕はカレーに関することをずっと行っていますが、その場に一緒にいる人とか、僕が作るから食べてくれる人とか、そういう人とのコミュニケーションが上手くいくかどうかが、僕にとっては一番大事です。

株式会社エアスパイス代表取締役 カレースター 水野仁輔さんにインタビュー 第3回はこちら(2017年8月4日公開)

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