2018.05.31

【第3回】株式会社TBSテレビアナウンサー熊崎風斗さん・山本恵里伽さんにインタビュー「アナウンサーの面白さや難しさ」


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【第2回】株式会社TBSテレビアナウンサー熊崎風斗さん・山本恵里伽さんにインタビューはこちら

アナウンサーを目指す学生へのアドバイス

山本 とにかく自分のやりたいことや好きなことを見つけて、それに没頭することが大事だと思います。アナウンサーに限らず、就職活動をしていく上で面接官や企業が知りたいのは、その人の本質の、素の部分だと思うんですよ。やりたいことを一生懸命やって、それについて目をキラキラさせながら話す姿が、素の部分を一番訴えかけられると思うので、「就職活動のためにこれをやる、アナウンサーになるためにこれをやる」とかではなく、「自分が好きだからやる」いうことを見つけるのが一番良いと思います。

熊崎 確かにアナウンススクールで発声を学んだりすることももちろん大事ですが、そういったアナウンサーになるための行動が面接官に響くかというと、それはまた別の話ですよね。

山本 最終的に「この人と一緒に仕事をしたい」と思ってもらわないといけないので、やっぱりそれだけでは足りないというのはあります。

熊崎 趣味でも何でも良いので、自分が語れるジャンルを持つことは大事ですよね。

山本 「このことだったら任せて!」と言えるようなことを大学生活の4年間で見つけておくと、就職活動がとても良い方向に進んでいくと思います。

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アナウンサーに求められている能力は?

熊崎 アナウンサーには一生完成が無くて、どの能力も鍛えることに終わりがありません。もちろん話す力が必要なのは大前提としてあると思いますが、聞く力も大切です。今回のインタビューのように、質問形式で相手と会話をすることが非常に多いので、「相手にこういった言葉を発してほしいな」とか、「どうしたら生きた言葉を引き出せるかな」などと考えるのですが、どれも正解はありません。後から「ああやって聞いていればこうやって答えてくれたかな」と考えることはできますが、実際にやっても、人間対人間のことなので想定通りになるとは限りません。アナウンサーは、原稿を読むことや、フリートークで面白い話ができることも大事ですが、人の話を聞くということもとても大事だと思います。

山本 確かにそうですね。就職するまで、アナウンサーは話す仕事という印象が強かったのですが、いざアナウンサーになってみると、聞いて話を引き出す力がとても大切だと感じます。特にスポーツの現場などではそうですね。

熊崎 映像や番組のクオリティが、聞き手によって大きく変わってしまうこともあるので、責任を持ってやらなくてはいけないなと思います。

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山本 難しいですね。インタビューするのは苦手です。

熊崎 インタビューは難しいですよね。ほかにもアナウンサーの仕事には、意外と食リポとかもあったりしますよね(笑)。

山本 食リポ大の苦手です(笑)!

熊崎 私もです。担当しているジャンルによって、仕事の中身は180度違いますし、アナウンサーにとって一番大事なことを挙げるのは、本当に難しいですよね。何が大事なのか分からないというくらい、本当に奥が深いものだと思います。言ってしまえば、生活すべてが大事ということになってしまうと思うんですよね。

山本 そうですね。

熊崎 仕事をしている時間だけでなく、仕事以外のところで吸収したことが、その直後ではなくても1年後や5年後などに、何らかの形で役立つこともあるかと思います。何でも吸収しようという意欲が一番大事なのかもしれないですね。

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アナウンサーの面白いところ、難しいところ

山本 熊崎さんと一緒に担当させてもらっている、夕方の報道番組の「Nスタ」では、いろいろなコメンテーターの方や解説員の方が毎日来て、さまざまなお話をしてくださります。世の中の動きを知ることができるのはもちろん、いろいろな人の考え方や見方を知ることができて、しかも私たちは生で聞くことができるというのが面白いなと思います。政治などの難しい話もありますが、コメンテーターや解説員の方が話しているのは人間味があって分かりやすいなと感じますし、もともと興味がなかった分野にも耳を傾けられるというのはすごく面白いです。

熊崎 ミーハーな意見になってしまいますが、私は普通の人が行けないところに行けるというのが非常に大きいと思います。「Nスタ」のスタジオに自分が立っているということも、それが毎日や毎週のことだと当たり前のようになってしまいますが、当たり前のことではありませんよね。あの空間でカメラに向かって話したら、小さいころからずっと見続けていたテレビに自分が映っていると考えると、今でも不思議な気持ちになったり、ふと我に返ったときに「あ、テレビに出ているんだ」と思うことがあります。

また、普通の人が入れない場所に、取材などで特別に入ることもできます。2017年の夏にはTBSの「世界陸上ロンドン」に行かせてもらって、ロンドンでいろいろな実況をしました。世界最高の選手たちが集まって競っているところに自分がいて、自分が日本の代表として話しているというのは改めて考えると普通ではないなと思います。しかし、楽しいところがある反面、プレッシャーもあります。楽しさよりもプレッシャーの方が大きいかもしれないくらいです。

山本 そうですよね。

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熊崎 話しているときはプレッシャーなどは考えずに、自分が持っているものをすべて出そうという気持ちしかありませんが、話す前や話し終わった後は、やはりプレッシャーを感じます。しかしそういうプレッシャーを感じながら仕事ができるというのもありがたいことだと思います。報道番組を担当していると、自分のミスが会社としてのミスになってしまうなどといったプレッシャーがすさまじくないですか?

山本 すさまじいですね。それはもう毎日ですね。

熊崎 しかも生放送だと取り返しもつかないですし。

山本 どんどん体が小さくなってきました。

熊崎 でもそれも小さくなったら小さくなったで、「もう少し大胆にやろうよ」と言われることもあるので難しいですよね。うまくやろうと思っていても、それが良いのかどうか分からないみたいな。

山本 ミスを恐れすぎると視聴者に伝わらなくなったりしてしまいますが、ミスをしたらいけないですし、どうしたら良いでしょうか?

熊崎 これには正解はないですよね。

※ページの内容や掲載者のプロフィールなどは、インタビュー当時(2018年3月16日)のものです

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