勤務先 | 新渡戸文化学園「VIVISTOP NITOBE」チーフクルー/プロジェクトデザイナー、 東京造形大学非常勤講師、SOZO.Ed副代表 |
2020年4月から新渡戸文化学園(東京都中野区)に籍を置き、子どもたちの好奇心を、実社会で生きるスキルへと成長させていくクリエイティブ・コミュニティを形成するVIVITA株式会社と連携。学園内に「教室や教科、学年などの枠をなくし、教師も生徒も共につくり、共に学ぶ」をコンセプトにした学びの空間「VIVISTOP NITOBE」を開設。
校外では、Technology×Creative×Artをキーワードに各地でワークショップやイベントを展開。
キッズワークショップアワード優秀賞を受賞。出張図工室プロジェクト「山と水の図工室」の活動では東京新聞教育賞を受賞。2021年にはキッズデザイン賞最優秀賞を受賞。
その他にも、地域と連動した創造型プロジェクトに多数携わる。2児の父。
図工の先生という枠組みを超えて
現在はどのようなお仕事をしているのですか?
2020年に勤務先である新渡戸文化学園内に「VIVISTOP NITOBE」というクリエイティブ空間を立ち上げました。平日の日中は、生徒たちが授業で使用し、放課後は、学園の小学生から高校生までのさまざまな年代の子どもたちが集い、自由にものづくりをしています。
2021年まで小学校の図画工作科の授業も担当していましたが、2022年4月からは、図工の先生という役割を超えて、大人も子どもも学べる場づくりを手掛けています。
現在は、この学びの場を地域にまで広げ、土曜日に子どもや親子が自由にものづくりを体験できる場として開放しています。 ここに来る人たちの「やってみたい!」「つくってみたい!」をどうしたら形にできるのか。さまざまな人たちと考えながら共創していくことが、今の仕事です。

美大出身ではないのに「図工の先生」
現在のお仕事に至るまでの道のりを教えてください。
僕は、2014年3月まで明治大学の職員として大学の事務局の仕事をしていたのですが、もともと学校の先生になりたいという思いがあり、仕事をしながら通信教育で小学校の教員免許を取得して、2014年4月に都内の公立小学校の教諭に転職しました。
当初は、学級担任になるとばかり思っていたのですが、まさかの「図画工作専科教員」という図工のみを担当する教諭としての採用でした。美術系の大学出身でない僕が、「なぜ!?」と本当に驚きました。
子どもたちに鍛えられた「面白がり力」
どのように意識を切り替えましたか?
正直なところ、図工の先生になってほしいと言われた当初は、何をどうしたらいいか分からず戸惑いました。でも一方で、「どんな仕事も自分の捉え方次第で面白くなる!」とも考えていました。
実はこれは、大学職員時代に先輩から学んだことです。当時の僕は、事務局の仕事が単調に思えてしまうことがあったのですが、その先輩は「面白がり力」があって、いつも生き生きと仕事をしていました。その姿を見て、「どんな仕事も自分で面白くすればいいんだ」と思うようになりました。
「面白がり力」は、小学校の先生になってさらに鍛えられました。環境次第ではありますが、子どもたちは何気ないモノ・コトを面白がることができます。大人よりもずっと「面白がり力」が高いです。そんな子どもたちと8年間も向き合ってきましたから、新しいことや変化に対してほとんど抵抗を感じることもなくなり、何でも「面白い!」と思えるようになりました。

探している状態の自分を認めよう!
大切にしている考え方を教えてください。
子どもたちと過ごしていて、気になることがあります。それは、子どもたちが、「大人から与えられたゴールを意識しすぎていること」です。「与えられたゴールに向かってどう進めばいいか」という考え方をしているように感じます。
僕が子どもたちに伝えたいのは、どこに向かっていけば良いのか分からずに「ぐるぐる」「うろうろ」する、その軌跡こそが大切なのだということです。「好きなことは何ですか?」と人から聞かれて、即答できる人って少ないですよね。僕はそれで良いと思っています。「探している」という状態の自分を、認めましょう!
僕自身も、人からよく「好きなことを仕事にできていいですね」と言われることがありますが、決して今まで迷わずに好きなことだけを追究してきたわけではありません。予想外のことや難しい選択肢がたくさんあった中で、そのたびに自分がベストだと思う道を選んできた結果が、今の自分です。
図工の先生になることも、活動の場を学校の外にまで広げるようになることも、全く予想していませんでした。これからも、予想できない出来事を楽しみながら、「ぐるぐる」「うろうろ」して、その道中を楽しんでいきたいと思います。

明大生に向けてメッセージをお願いします。
明治大学のスローガンである「前へ(※)」という言葉が、僕は好きです。明治大学ラグビー部のスローガンですよね。前へ進む時は、一人ではつらいから仲間と行く。スクラムを組んで、「前へ」。 僕も、決断をする時や苦しい時は、出会った仲間たちと協力し合って前へ進んできました。皆さんも、すてきな仲間と出会って、「それぞれの、前へ。」進んでいってください。
※「前へ」:明治大学ラグビー部の故・北島忠治監督の言葉。詳細は、こちら

※記事中に掲載した写真は撮影時のみマスクを外すなどの配慮をしております
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