2021.11.26

【鳥取県の魅力紹介!】鳥取の四季を旅するー現存する万葉の情景ー


鳥取県は、創立者の一人である岸本辰雄初代校長の出身地で、明治大学は同県との連携協定を締結しています。本コラムでは、学生ライターが取材を重ね、発見した鳥取の魅力をさまざまな視点からお伝えします。 今回は、鳥取市因幡万葉歴史館の鎌澤圭伸さんにお話を伺い、『万葉集』の歌を参考にしながら、鳥取における春夏秋冬の魅力についてご紹介します。

そもそも『万葉集』と鳥取にはどんな関係が?

『万葉集』といえば、日本に現存する最古の歌集であり、新元号「令和」の典拠になったことで話題になりました。『万葉集』は全20巻に及び、およそ4500もの和歌が収められています。この数多くある歌のうち473首(『万葉集』全体の約1割)が大伴家持という人物の歌であることが分かっており、このことから彼がこの『万葉集』の編纂に関わったとされています。

なんとこの大伴家持こそ、鳥取県に所縁のある人物なのです。彼は758年、現在の鳥取県東部に位置する因幡国の国守として赴任しました。彼がその地で詠んだ歌は、『万葉集』の最後を飾っており、私たちの記事でも冬の歌として後に紹介します。このようにして、鳥取は『万葉集』に深く関わりのある地となりました。

春は桜が見頃!(鳥取の万葉景色)

『万葉集』第8巻1440(作者:河辺朝臣東人)
<春雨の しくしく降るに 高圓(たかまと)の 山の桜は いかにあるらむ>

[意味]

春雨がしきりに降っているが、高円山の桜は今頃どうなっているかなぁ。

[解説]

この歌は、高円山の桜を思って詠んだ歌です。春雨に開花を促されて高円山の桜はもう咲いただろうかと、桜の様子を案じていることが伝わってきます。日本人の花を思う心は、古代から現代にかけてずっと受け継がれているのですね。

お花見おすすめスポット

鳥取県にはたくさんの桜スポットが存在しており、今回はその中でも二つを紹介します!

鳥取城跡、久松公園

豊臣秀吉の兵糧攻めで有名な鳥取城。「桜名所100選」にも選ばれた、言わずと知れた鳥取県の桜の名所です。公園内にはソメイヨシノを中心に約240本の桜が咲いています。 また公園内には「天守跡二の丸跡」「仁風閣」という洋館が残っており、歴史好きな人にもおすすめのスポットです。桜の満開時には「ぼんぼり」が点灯し、屋台が出てにぎわいます。 ライトアップされた夜桜が水面に映る景色は、非常に幻想的です!(住所:鳥取市東町2丁目)

「桜名所100選」に選ばれた久松公園(©鳥取県)

打吹公園

打吹山のふもとにあり、大正天皇が皇太子の時、山陰に訪れたことを記念して明治37年に造園されました。春になると多種多様な桜やツツジが咲き、「倉吉春まつり」 が行われます。特に夜のライトアップでは、大小約500個の「ぼんぼり」が点灯されます。 この公園をイメージした「打吹公園だんご」は倉吉市の名物!通信販売するほどの人気ぶりです。(住所:倉吉市仲ノ町)

夜にライトアップされた打吹公園の桜(©鳥取県)

日本一の天の川(鳥取の万葉景色)

『万葉集』第10巻2013(作者:柿本人麻呂)
<天の川 水蔭草(みづかげぐさ)の 秋風に 靡(なび)かふ見れば 時は来にけり>

[意味]

天の川を見やると、水蔭に生えている草が秋風になびいている。
あぁ、ついにその時がやってきたのだ。

[解説]

水辺の草が秋風にそよそよとなびきだす頃、ようやく待ちに待った二人の逢瀬(愛し合う男女が密かに会うこと)がはじまると心を弾ませている様子が表されています。 また、「水蔭草(みずかげぐさ)」とは水に影を映している草のことであり、万葉人の美しい造語の一つです。

星空観賞のおすすめスポット

鳥取砂丘

日本一の星空と称賛され続ける鳥取県。平成 30 年以降は「星空保全条例」を策定し、星空保全地域を指定・支援を行うことで美しい星空の保全活動に力を入れています。鳥取砂丘では星空観測の障害となる光が少なく、おすすめスポットとされています。 そこで鳥取県観光交流局では鳥取県とその星空の魅力を掛け合わせた「星取県」というキーワードを用いて、鳥取の魅力を発信しています。 (住所:鳥取市福部町湯山2164-971)

日本一との呼び声も高い鳥取県の星空(©鳥取県)

「Plus!夏の鳥取は魅力がいっぱい!」加えておすすめしたい観光スポット

湯梨浜町の漁火

夏(6~8月頃)に旬を迎える「白イカ」は、鳥取水産物として知られる夏の人気グルメの一つです。釣り船の集魚などの光が浜から見えることから、夏のイカ漁の漁火は郷土景観としても有名です。 (住所:東伯郡湯梨浜町海岸)

伯耆古代の丘公園の古代ハス

鳥取県の夏(6月中旬~8月頃)では、推定 2000 年前の品種とされる「大賀ハス」が咲き誇り、夏の公園を鮮やかに彩ります。 (住所:米子市淀江町福岡1529)

鳥取でしか味わえない紅葉(鳥取の万葉景色)

『万葉集』第8巻1591(作者:大伴家持)
<黄葉(もみちば)の 過ぎまく惜しみ 思ふどち 遊ぶ今夜(こよひ)は 明けずもあらぬか>

[意味]

黄葉(紅葉)が散ってしまうのが惜しいので、我ら仲間内で遊んでいる今宵は明けなければいいのに。

[解説]

この句は、奈良時代の公卿であった橘奈良麻呂の邸宅で行われた黄葉を愛でる宴席で、家持が詠んだ歌です。「仲間内で遊んでいる今宵は明けないでほしい」というこの歌は、秋から冬にかけての木々の変化による寂しさを詠んだ歌でしょう。

紅葉おすすめスポット

大山

「東の富士山、西の大山」と言われる鳥取県の名峰。秋には山全体が七色に染まり、その景色は絶景です。見頃は10月末から11月初旬と言われますが、初冠雪時の大山はより格別です。カラフルな紅葉の色が深まっていく景色を白い雪が覆うことで、そのコントラストを楽しむことができます。 (住所:西伯郡大山町大山)

雪が降り、紅葉を覆い始めた大山(©鳥取県)

小鹿渓

国指定の名勝である小鹿渓の紅葉では、滝・深淵・巨岩などの自然と秋特有の赤や黄色に染まった木々のコントラストを楽しむことができます。中でも滝と紅葉のコンビネーションは抜群で、写真スポットとしても最適です。紅葉の見頃は11月上旬から中旬で、「もみじまつり」などのイベントも行われます。 (住所:東伯郡三朝町神倉)

紅葉と滝が同時に楽しめる小鹿渓(©鳥取県)

冬の幻想的な景色(鳥取の万葉景色)

『万葉集』第20巻4516(作者:大伴家持)
<新(あらた)しき 年の初めの 初春の 今日降る雪の いやしけ吉事(よごと)>

[意味]

新しい年の初めの初春の今日降り積もる瑞雪のように、いよいよしきりに吉事よ積もり重なれ。

[解説]

『万葉集』全20巻の最後は、因幡国での正月に大伴家持が詠んだ句で締めくくられていました。大伴家持は鳥取にゆかりがあり、この歌は彼が因幡国(現在の鳥取県)に赴任した翌年の正月元旦に詠まれたものです。その日は雪の元旦であり、雪は豊年の瑞(しるし)とされていました。また、「今日」とは、19年に一度しか巡ってこない歳旦立春(暦日の「元旦」と二十四節気の「立春」が重なる)の日のことで、年の初めのめでたさに加えて、立春が加わった特別にめでたい日でした。

冬のおすすめスポット

千貫松島

鳥取県にある浦富海岸の島の一つとして、人気がある観光スポットです。頂上に立派な松が生えており、なかなか見ることができない貴重な景色を味わえます。冬には荒々しい日本海の中で、幻想的な姿になります。 (住所:岩美郡岩美町網代)

千貫松島:冬の幻想的な景色(©鳥取県)

取材に協力いただいた鳥取市因幡万葉歴史館について

今回、お話をお聞きした鎌澤圭伸さんが所属される鳥取市因幡万葉歴史館は、古代因幡・万葉の歴史や文化に触れることができる施設です。私たちの記事では、『万葉集』の歌を中心に「鳥取のおすすめスポット」を紹介しましたが、その『万葉集』の編纂に関わったとされる大伴家持の生涯に注目した展示などがあり、『万葉集』の世界を存分に楽しむことができます。他にも「因幡の古代」をテーマにした常設展や、定期的に特別展も開催されており、何度行っても楽しむことができる場所です。 (住所:鳥取市国府町町屋726)

鳥取市因幡万葉歴史館(©鳥取県)

今回紹介した魅力スポットMAP

コラムを紹介してくれた方鳥取県の魅力発信ライター:チーム「ゲゲゲのいつたり」

紹介者:上段左から:吉村さん(法学部3年)、田中さん(情報コミュニケーション学部2年)、
中段左から:高澤さん(経営学部1年)、柳さん(政治経済学部3年)、
下段:加倉田さん(政治経済学部1年)

メンバーからのヒトコト
春夏秋冬を『万葉集』で紹介するという斬新なアイデアで、記事を書き上げました!ユニークなメンバーによる傑作をお楽しみください!
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※記事中に掲載した写真は撮影時のみマスクを外すなどの配慮をしております