PROFILE:
中国新疆ウイグル自治区ウルムチ市出身。明治大学政治経済学部卒業、一橋大学経済学研究科修士課程、明治大学政治経済学研究科博士後期課程修了。金融機関での勤務を経て、2020年より現職。専門は国際経済学、国際貿易における貿易金融の実証分析。学生時代は留学生として明治大学で学び、現在は政治経済学部の留学生派遣・受け入れなど、国際交流活動にも携わる。
とりあえず留学?
「大学に入ったらとりあえず留学行こうかな」と、漠然と考えている方もいるでしょう。明治大学は数多くの留学プログラムを提供しており、毎年多くの学生を海外に派遣しています。しかし、帰国後に留学先で印象に残ったことを聞かれた時の答えが「寮でのパーティー」だけだと、「何しに留学行ったの?」と言われるのがオチです。
もちろん「よく遊びよく学べ」ですから、パーティーを否定するつもりは毛頭ありませんし、どのような動機で留学に行こうが、それは当人の勝手であることは言うまでもありません。しかし、心構え一つで、留学を通じて得られる学びや経験が大きく変わることもまた事実です。
「留学に行ったのだから一生懸命勉強しろ!」なんて言うつもりはありません(勉強をするのは言うまでもないからです)が、私自身の留学生としての経験から、ぜひこれから留学を考えている皆さんに、この文章のタイトル「己を知り、世界を知り、強くなれ」を心に刻んでいただければと思います。
違うものに触れるからこそ、自分自身が分かる
「己を知り、世界を知り、強くなれ」は主人公が海賊王を目指す某漫画に登場するせりふに似ていますが、留学する際の心構えの全てが詰まっています。海外に行く、世界を見るということは同時に、自分自身を見つめることでもあります。自分がどういう人間であるかを理解せず、芯となるものを持っていないと、ただ目新しい物事に片っ端からかぶれるだけの人間になってしまいます。留学に行くことは世界を知ることであり、自分を知ることでもあるのです。
もちろん、現時点で自分がどういう人間であるかを完全に理解している必要はありません。触れた物事をただ受け入れるだけではなく、健全な批判精神を持ってしっかり考え理解し、判断することが自分という人間をつくり上げていきます。留学先で触れた新しい考えやアイデアに感動し、感銘を受けることも大事ですが、それらを批判することもまた同じくらい大事なことであり、自分自身の糧となることを忘れないでください。
ただし、何も全てを批判し遠ざけ、斜に構えた一匹おおかみになれと言っているわけではありません。郷に入っては郷に従え。言葉や習慣など、現地の環境や人々、社会に溶け込むための努力も必要です。いつまでも部外者であり、「お客さん」の立場では、留学から得られるものはほとんど無いに等しいと言っても過言ではないでしょう。
誰のためでもない、自分と自分の未来のために
現実の留学では「キラキラ留学生活」とは程遠いものが待っている場合がほとんどですし、芯を持って溶け込めなんて簡単なはずがありません。ではなぜそこまでしてキラキラでもなく、簡単でもない留学をするのか?
留学は親御さんのためでも、友達のためでも、自慢のためでもなく、自分自身と自分の未来を築くためにするものです。慣れ親しんだ場所を離れ、環境にも言葉にも慣れず、必ずしも愉快とは言えない経験をし、勉強に追われながら一人寂しく過ごすこともあるでしょう。しかし、それが皆さんという人間をつくり上げ、強くしていくのです。自分では気づかないかもしれませんが、帰国後の、自信に満ちていつもより大きく見える皆さんは、確実に自分の描く未来に一歩近づいているのです。
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